川本先生と学ぶNHK英会話

英会話上手は完璧な英語を目指さない

完璧な英語で話す必要はありません

今回は、英会話を話すコツについてお伝えします。英語で会話するとき、特に友人間の日常会話においては、完璧な英語で話す必要はありません。日本人は真面目なので、きれいな英語で話そう、間違ったら恥ずかしい、正確な英語で話さなければと思ってしまいがちです。でも、コミュニケーションをとるための英語は、決して完璧である必要はないのです。そこに気づくと、英語は軽やかに話せるようになります。

想像していただけますか?日本語を学習中の外国人が、日本語を話していたとします。完璧な日本語を期待しますか?たどたどしくても、一生懸命話そうとしている姿勢をみると好感がもて、応援してあげたくなりませんか?むしろ、ちょっと危なっかしい、あやふやな日本語はチャーミングで、微笑ましくもあります。私たちの英語もそれでいいのです。

間違いを恐れて黙るより、間違いながらでも話した人が上達をします。間違い?!結構ではありませんか。自分の間違いを笑い飛ばせるようになったらしめたものです。難しい単語を使う必要もありません。自分が持っている簡単な英単語だけを組み合わせて、結構話せるものです。日常会話は中学校3年生までに習う単語だけで何とかなると言われていますが、本当です。

文法が多少違っても通じます

私たちが日本語を話すとき、はたして文法に則って正確に話しているでしょうか?前後がひっくり返ったり、言い直しをしたりしながら会話していませんか?主語、述語が必ず必要かというと、そうでもありません。例えば、 「朝ご飯、食べた?」 と誰かが聞いたとします。何と答えますか? 「はい。私は朝ご飯を食べました。」 と返事をする人がいるでしょうか?恐らく、「うん、食べたよ」と答える人が多いと思います。「はい。私は朝ご飯を食べました。」という返答の仕方は、文法的に考えれば満点です。しかし、自然な会話かというと、ちょっと悩んでしまいます。
「朝ご飯、食べた?」
「うん、食べたよ」
本来、会話はリズミカルで簡単な言葉のキャッチボールであるべきなのです。そのため、単語を2つ、3つ出しただけでも会話は成立します。

失敗を笑い飛ばせるようになったら上達します

私は前置詞の使い方がよくわかっていませんでした。今でも迷ってしまうことがしょっちゅうですが、よく使う手があります。例えば、「公園で会おうね」と言いたいとき、どの前置詞を使ったら良いかわからず、思いつくものを全部使って話してしまいます。そして、最後に「どれが正しいの?」とネイティブ・イングリッシュ・スピーカーに聞いてしまうのです。

I’m going to meet you in the park/at the park/on the park. Which one is correct?

正解は、in the park か at the park。in の場合は、公園の中で会いましょう、という意味になり、at を使うと公園のどこか、ある特定の場所で会いましょう、という意味になりますが、どちらを使っても文法的には正解だということが、使っているうちにわかってきます。

また、こんなこともありました。ある地方で行われたカンファレンスの帰り道のことです。オーストラリア人の講師仲間が、車で会場に来ていました。電車で帰ろうとする私や他の友人たちに乗って行かないかと声をかけてくれました。ご厚意に甘えて、同乗させてもらうことにした私。車の中は、ネイティブ・イングリッシュ・スピーカーのオーストラリア人、イギリス人、そして私の3人です。少し、お腹がすいてきました。しかし、レストランに入ってゆっくりしていると夕方のラッシュアワーで渋滞に巻き込まれてしまいそうでした。そこで、私が次のように提案したのです。

Why don’t we stop at a convenience store and grab a sandwich? Then we can eat it on the car.
(コンビニに寄って、サンドイッチをさっと買わない?車で食べられるわ)

すると、ちょっとした沈黙のあと、オーストラリア人が

That sounds nice, but it may be a bit dangerous.
(いいねえ。でもちょっと危ないかも)

と言うではありませんか。そして、隣に座っているイギリス人が笑い転げています。訳がわからない私。

どうやら、私の使った英語がおかしかったようです。on the car というと、まるで私たちが車の屋根の上かボンネットの上にのってサンドイッチをほおばっている絵が浮かんでくるのだそうです。だから、a bit dangerous と言ったのですね。本当は、in the car と言わなければなりませんでした。

やっと意味がわかった私は大笑い。あれから10数年以上たった今でも「さなえは少し危ないことをやろうとするからね」と話題になることがあります。でも、自分の失敗を恥じて落ち込んでしまうよりも、笑い飛ばしてしまったほうが英語は上達するのです。

さあ、あなたも今日からは、完璧な英語を目指すよりも、まずは英語を口から出してみる。そこから始めてみませんか?

次回は「英語習得は孤独な闘いだから仲間が必要」です。どうぞお楽しみに!