川本先生と学ぶNHK英会話

英会話のリスニング力を伸ばしたかったらディクテーション

聞き取った音を書き出すディクテーション

前回は、聞いた音をそのまままねる「音まね」のお話でした。今回は、音まねが上手にできるようになったら、次にすることについてお話してみたいと思います。

リスニング力を伸ばすのに、最適な方法があります。音声を聞きながら聞こえてきた英語を書き取っていく「ディクテーション」という作業です。ディクテーションをすると、実際の会話がどのくらい聞き取れているのか、自分の実力がはっきりわかります。さらに「英語耳」が開きます。真剣に耳を傾けることになるので、自然とリスニング力がアップするというわけです。

今まで何気なく聞いていた英語、わかったつもりだったのに、いざ書き出してみると意外と書き取れないことに気づくでしょう。自分がしっかりマスターしている会話は、書き出すことができます。しかし、あやふやに覚えていたものや、自分の中に定着していないセンテンスは、書き出すのが難しいのです。わかっていたはずだったのに書き出せない自分に、愕然としたことが何度もありました。

どんな英語について、ディクテーションをしたらいいのでしょうか?長い文章をすべてディクテーションする必要はありません。30秒くらいのもので十分です。CASIOのEx-word RISEの中には、NHKラジオのコンテンツがたくさん入っています。自分の実力よりも少し下のものから挑戦していくと良いでしょう。ひとまず「基礎英語2」から挑戦し、簡単だと感じたら、「ラジオ英会話」に進むことをおすすめします。ダイアログの部分の音声をかけ、文字は見ないで書き取ってみるというのはいかがですか?たくさんやる必要もありません。一日一回、毎日続けてみましょう。

基本的なディクテーションのやり方

では、基本的なディクテーションのやり方をご紹介します。まず、音声を流します。センテンスの途中でかまわないので、音源をストップし、聞き取れた部分をノートに書き出します。あるいは、PCやスマートフォンに直接打ち出しても良いでしょう。

短いセンテンスであれば、ワンセンテンスで止め、書き出します。長いセンテンスの場合は、単語2つ、3つごとに書き出します。難易度が高い場合は単語ひとつでも止め、少しずつ文を完成させていきます。
A-B間を繰り返し流すことのできるレコーダーを持っていれば、何度も何度も同じ箇所を聞きながら書き出してみてください。

わからない単語は、聞こえたとおりの音をひとまずカタカナで書き出しておきます。まったく歯が立たない部分は、空欄でもかまいません。聞こえたところだけを記入します。

ここで登場するのが、電子辞書です。カタカナを自分なりに考えたスペルで打ってみます。「スペルチェック機能」を使うと、該当するであろう単語を並べてくれます。意味はわかっているけれど、スペルがわからないときは、和英辞典を活用します。電子辞書には、文字を何文字か打つだけで、該当する単語を次から次へと出してくれる機能がついています。目的の単語を探し出すのにとても便利です。

ディクテーションは英語4技能を伸ばす最強の学習法

ディクテーションの効用は、リスニング力を伸ばすだけではありません。もうすでにお気づきかもしれませんが、ライティング力も必然的に伸びます。出来上がっているセンテンスを書き出していくわけですから、正しい文章を反復練習により習得しているのです。当然、スペルも知らないと完成できません。

さらに、実は文法力も伸ばすことになるのです。例えば、 「アイ プレイ テニス イエスタデー」と聞こえてきたとします。yesterday という単語が入っているということは、過去の話をしているわけですから、played とed を補足しないといけません。

「アイ ニード フィニシュ イッ」 と聞こえてきたら、need の後ろには不定詞のto が必要かもしれないと気づきます。音声を聞きなおしてみると、今度はきちんと「アイ ニートゥッ フィニッシュ イッ」 と need の後ろに to が入っているように聞こえてきます。I need to finish it. と完成することができます。

ディクテーションノートが出来上がったら、最後の仕上げに音声とともに口から英語を出してみましょう。この方法で、知らず知らずのうちに「聞く、書く、読む、話す」の4技能を伸ばすことになるのです。

ディク―ションの作業は時間ばかりかかって、はたして効果があるのだろうか?その時間を別の学習に当てたほうが、効率が良いのではないだろうか?と考える人もいるかもしれません。しかし、ディクテーションこそが、英語力を全体的に伸ばす最強の学習法です。

英語学習はかけた時間の分だけ、自分に返ってくるようになっています。お金も時間もかけたのに、去っていってしまった恋人とは違います。必ず自分に返ってくるのです。

次回は「英会話上手は完璧な英語を目指さない」です。どうぞお楽しみに!